世界初の解明
北海道大学大学院農学研究院および国立研究開発法人森林総合研究所、並びにカリフォルニア・ポリテクニック州立大学の共同研究チームは、交通騒音によりフクロウ類の採食効率が低下していることを世界で初めて解明した。
影響は道路から120m以内の範囲に及ぶ
フクロウ類は餌を探すのに聴力を頼りにしていることが知られている。これを聴覚捕食者と呼ぶが、車や電車などが発する交通騒音の影響を受けやすい動物であると指摘はされていたが、夜間に採食行動をするため、野外でその行動を観察することが難しく、仮説を検証することが難しかった。
そのため研究チームは、フクロウ類の「特定の周波数の音を頼りに獲物を探す」という習性を利用して、フクロウ類をおびき寄せる人工音声をまず開発した。
そして、2014年12月~2015年3月に北海道勇払原野と宮城県仙台平野、併せて103か所で、この開発した人工音声を、交通騒音と同時に拡声器で再生することで、フクロウ類が人工音声を探し出せるかどうかを調査した。
交通騒音の大きさを変えてみた結果、40dB(静かな住宅街の騒音量に相当)で17%の低下、80dB(電車内の騒音量に相当)で89%も低下していることがわかった。飼育下のコウモリを用いた研究では道路から50m以内の範囲で採食効率が低下するという推定結果より、交通騒音の大きさと道路の距離の関係から、フクロウ類の採食効率は道路から120m以内の範囲で低下するという研究結果が示された。
(画像はプレスリリースより)

北海道大学プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/news/160920_owls_pr.pdf森林総合研究所プレスリリース
http://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2016/20160920/index.html